初めて会ったときから、オレは黒子っちを“そういう目”で見ていた。


何よりも大切で、何者にも変えがたくて、大切に大切に自分だけの物にしたい。
自分にだけ笑いかけて、自分にだけ話しかけて、自分だけに心も体も許して…


下品で醜悪で、独占欲と呼ぶにはあまりにも非道徳的な感情。


けど、それだけじゃ無かったんだ。
そんな中にも確かに君の幸せだけを願う思いや、広い世界で幸せを一緒に味わいたいと思う心もあった。

だから、オレは君の笑顔が少しでも増えるように、君が幸せだと思えるように、尽くしてきた。


君の陰口を言っていた輩は二度と喋れなくしてやった。
君のバスケを否定する輩は二度とバスケを出来ないようにしてやった。
君を下卑た目で見てた輩は二度と光を見えないようにしてやった。


そして、君の笑顔はずっとずっとオレが守ってきた。


でも、そんなにしてきたのに、




オレは君のことダケヲアイシテルノ二…







けれど、キミはあいしてくれない




「黒子っち!!」

部活が終わって真っ先に行く場所は誠凛高校。
高校から学校が離れ離れになってしまい、しかも高校に上がってから黒子っちの周りには邪魔な虫が沢山群がるようになった。

だからいくら遠くてもオレはかなりの比率で誠凛へと通っている。



――無自覚で無防備な黒子っちを、オレが守らなきゃ!!



その思いがあれば、どんなにハードな練習の後でも足は自然と黒子っちの元へ動く。


そして今日もまた誠凛へと足を運ぶ。
黒子っちは大抵後の方で出てくるから校門で待つのが普通だった。
その間周りの女子が五月蝿いが、オレの頭の中は黒子っちのことしか無いから総無視。

待ってる間は黒子っちの姿を思い浮かべる。

きっと今日も何時ものように一人でとことこと校門まで来るのだ。
オレはそんな黒子っちに声をかける。
黒子っちは「また来たんですか?」と大して悪気も無く聞いてくる。
でもそれは黒子っちの優しさで、遠くから来るオレへの遠まわしな労いの言葉なのだ。
そしてオレは黒子っちと雑談をしながら帰るのだ。

…まぁ、その雑談から周りの邪魔な虫の動きを読み、牽制をかけるのだが。




その後はたまにマジバとかへ寄り道したり、本屋なんかに行ったり寄り道をして帰る時もあれば、疲れたからと真っ直ぐに帰る時もある。

今日は黒子っちの好きな作家の新刊が発売されているとかで本屋によって帰った。
帰りがけの黒子っちはご機嫌で、何時もはオレが頭撫でたりするとうっとおしいと言いたげな顔をするのが普通なのに、今日は嫌がらなかった。
寧ろ、
「新刊あってよかったスね、黒子っち!」
といって頭を撫でればただ嬉しそうに微笑んでうなずいたのだ。
その時の黒子っちの可愛さと言ったら、周りの奴らに見られてしまう前に攫ってしまいたいほどだった。

…でも、我慢。
そんなことしたらきっと黒子っちは怒ってオレと話してくれないどころか会ってもくれなくなるかもしれない。
だって黒子っちは恥ずかしがりやで、目立つ愛情表現をするとすぐ逃げてしまう。




――まぁ、オレは黒子っちがちゃんとオレのこと好きなのは知ってるからそんなツンデレな所も愛してるんだけどね。





そう、黒子っちはオレのことを絶対に好いているんだ。

でなければこんなに毎日会ってはくれないだろう?
それに毎日一緒に帰ってるし、部活の無い休日は一緒にデートに出かけたりもする。
しかもこんな風に頬を赤らめて照れる黒子っちなんて、絶対にオレしか知らない!



黒子っちにとってもオレは特別で、オレにとっての黒子っちは勿論特別、いや、どんなことにおいても黒子っちには敵わない。黒子っちはオレの全てだ。黒子っちがいなくなったらオレは確実に発狂して死ぬ。


オレたちは想い合っていて、ただ黒子っちは素直に言葉に出来ないだけ。



オレたちはこれからも二人で幸せな未来を共に見る運命の二人なんだ。








そう、信じていたんだ。

to be continued ...

by 稚嘉様(09/08/23) site:君を彩る僕の色

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